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本研究の意義

  1. 新規性・独創性・革新性・先導性等

    本研究の新規性は、(1)利用者が定義可能な「シナリオ」に従って、各センサノード上で環境やユーザ要求に適応して発火する役割をカスタマイズできる無線センサネットワーク技術と、(2)ユーザ要求に従って必要十分な情報をリアルタイムにユーザに提示する技術である。
    前者に関しては,「関連研究開発の状況」で述べた文献[6]がセンサノードに対する限定的な役割割り当て法を提案しているが、実システムで実現したという報告は、申請者が知る限り他にない。本技術が実現できれば、監視現場の状況に合わせて「シナリオ」を入れ替えることで、ニーズにあったWSNを迅速に構築できる。
    さらに、ダイハードセンサネットワーク技術から引き継いだ機能として、動的な役割分担がセンサノード間で実現できるため、「たとえ一部のセンサノードが故障しても、故障したセンサノードの役割を他のセンサノードが代替し、システム全体としてユーザ要求に応え、センシングを持続する頑健なWSN」を構築できる。
    これは、災害現場等の劣悪な環境に適用しても、現場での細かな設定や保守を必要とせず、確実に動作し続けるWSNが構築できることを意味する。
    後者に関しては、能動的にデータを取得し、それをネットワーク内でマッシュアップしてユーザに提供する技術に特徴がある。所望のデータを取得するためにネットワーク内のリソースを、ディレクトリサービスを使用せずに検索する手法は、P2P関連の技術として幾つか存在する。
    しかし、それらはユーザが与える検索キー自体がファイル名等、比較的単純なものである。本研究では、より複雑な要求を単純な要求に展開する機構を設けることにより、ユーザに負担をかけることなく、より高度な検索機能を実現できる。また、前者の無線センサネットワーク技術と連動し、動的にセンサノードの役割を変更し、ユーザ要求を満たすセンシングデータを能動的に取得する一連の動作を自動で行うことに新規性がある。
    さらに、通常、サーバや端末で実行される複数のシステムから取得した形式の異なるデータのマッシュアップ作業を、本申請研究では、ネットワーク内に配置したルータ装置がデータ転送と共に実施する。
    これにより、端末に負荷をかけることなく大規模データを扱えるだけでなく、新たなデータのマッシュアップの必要が生じた場合でも、ユーザ側のソフトウエアを更新することなく、ネットワーク側の更新作業のみで対応できる。これは大規模センサネットワークを構築する上で大きな利点となる。
    加えて、前述の2つの機能を融合して実現を図る、ユーザ要求に従って能動的にセンシングを行うといったコンセプトは、申請者が知る限り他になく、新たなセンサネットワークの構築法・運用法を提案するものである。

  2. 関連分野への波及効果

    現在のセンサネッワーク技術は、各センサが取得したデータを一方的にユーザ側に集約するための方式に焦点を当てている。本研究のアプローチは、ユーザ側から積極的にセンシング要求を発することを起源としてシステム全体が動作するという従来とは全く逆の発想である。本方式を実用的な大規模センサネットワークを構築するための新たなコンセプトとして普及させたい。
    また、動作シナリオをセンサネットワークに送り込むことにより、システム動作をカスタマイズできる機能は、一つのセンサネットワークシステムを用途に合わせて時間的にシェアし、別用途に使用できる可能性を生む。これは、ユビキタスコンピューティング環境を実現する様々なサービスが、広域に敷設したセンサネットワークシステムを、共通インフラとして利用できることを意味する。