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研究の目的

災害現場の迅速かつ継続的な監視は、人命救助の観点からだけでなく、救助者自身を二次災害から守る意味でも非常に重要である。消防関係者によれば、現在、上記監視作業は現場の救助隊員が交代で行うことが多く、救助活動自体に専念できない状況がしばしば発生する。本問題を解決するためにセンサネットワークの導入は有効な手段の一つである。
しかしながら、従来のセンサネットワークは、センシングデータを機械的にユーザに伝達するか、データロガー等に蓄積する機能が主であるため、広域監視を考えるとセンシングデータが膨大となり、知りたい情報を短時間に的確に得ることが困難になる可能性がある。
本研究では、
(I)ユーザ側から取得したい情報を要求(demand)として、複数の無線センサネットワーク群から構成される大規模センサネットワークシステムに問いかけると、その要求は所望のセンシングデータを保有するセンサまたはローカルデータベース(DB)に届けられ(addressingされ)、そこからリアルタイムに当該センシングデータが返答される機能と、他の消防・防災システム等から得られた有益情報を当該センシングデータと共にネットワーク内でマッシュアップし、ユーザ端末に実時間表示可能とする機能を兼ね備えたシステム構築技術、及び
(II)周囲の状況とユーザが発した要求を勘案し、動的に自らの役割を変更して所望のセンシングデータを取得する環境適応能力を持つセンサノードから構成される環境適応型無線センサネットワーク構築技術を創出する。本技術を用いて構築される広域センサネットワークシステムでは、ユーザが、例えば「ここから10km以内で出火の可能性は?」と問うと、10km圏内の高温を感知している温度センサにデータ取得要求が届けられ、それらから得た温度情報とアラートが、地図上にマップされてユーザ端末に表示される。
ここで、ある無線センサネットワーク内で温度センサを搭載したセンサノードがデータ中継等、別の役割を担っており、しかも周囲に誰も温度センシングを行っていなければ、自ら温度センシング機能を発火し、計測結果をユーザに返す。さらに、救助者間の通信システムから情報が取れれば、各救助者の現在位置なども同一画面上に表示するといったことも可能となる。
また、例えば「ここから北側5km以内で2日以内に火災の起こった可能性は?」と問うと、その要求は、北側5km圏内の温度情報を蓄積したローカルDBに届けられ、そこから2日以内に火災が起こった可能性を示す高温データとそれを観測した時刻が返答される。
上述した様に、本研究では、ユーザ要求に応じて適切なリソースにアクセスし、必要があれば、センサノードの役割をも変更して、所望のデータを能動的に取得する広域センサネットワーク構築技術の確立を目的とする。